グラミー賞・最優秀ロックアルバムにも選出された、前作『ワン・バイ・ワン』は個人的にも良く聴いたアルバムだった。彼らのヘヴィ・サイドでの頂点まで上り詰めた傑作アルバムだった。しかし、その後もデイヴのヘヴィ志向は収まりがつかなかった。おそらくフー・ファイターズには必要がないと感じ、自己満足させるにはこれしかないと、ヘヴィ・メタル・ソロ・プロジェクト、プロボットを始動させたに違いない。彼の憧れでもあったアンダーグランド・メタル・シーンのヒーロー達(モーターヘッドのレミー、カテドラルのリー・ドリアン、ヴェノムのメンバー他)をフューチャーし、自らはドラマー、作曲に徹しアルバムを制作した。アルバムの出来はともかく、自己探求の旅は終わり、今作の制作を行った。
当初より、二枚組になるだろうという情報は入っていたが、まさか彼らがこのような割り切ったアルバムを作るとは夢にも思わなかった。一枚は今までのヘヴィ・サイドを押し進めたもの。そして、もう一枚は全編、アコースティック・サイド。
勿論、気になったのは、アコースティック・サイド。ノラ・ジョーンズがピアノとヴォーカルで参加した2-Gでは今までで最もスウィートな感触を味わうことが出来る。かの元レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズがピアノとマンドリンで参加した2-BC、あとストリングスも導入した楽曲もありなど、デイヴがレッド・ツェッペリンの『フィジカル・グラフィティ』と比較したくなるのが、分かるくらいバラエティに飛んだ出来である。(実際、ZEPぽいリフが出てくるのはご愛嬌!)
ロック・サイドの方は前作のアップグレード版と考えてもらえば、何も心配することが無い安心定番商品となっている。しかし、よりメロディックになってきているのは気のせいだろうか。勿論大歓迎だ。特に先行シングルとなり、スマッシュヒット中の1-Bのサビは最高にポップだし、ヘヴィさとの加減具合もほど良いものである。
1枚、約45分の2枚組。アコースティック・サイドは少々ダレてしまうのは否めないが、ここまでの力作を作るアーティストは、現在のミュージックシーンを見回してもそうそう見あたらない。
今回のアルバムのツアーでは、1都市2公演方式を取り(感の良いそこのあなたは、そのとおり!)1日目にアリーナで爆音ロック・ライブをやり、2日目には小さな会場でアコースティックライブをやる予定だという。
彼らもデビューより10年。当時の自分が10年後にフー・ファイターズにのめり込んでいるとは思わなかっただろう。(だって、HM/HR好きが元ニルヴァーナを聴くんだよ。)
彼らの更なるステップに期待し、フジロックで向かい合いたいと思う。
<お薦め度>★★★★☆
2005/7/3